20歳代の若い頃はスリムな体型だった人でも、
30歳を過ぎて運動する機会がなくなり、
好きな物を好きなだけ飲んで食べてという食事を続けていると
内臓に脂肪が貯まり、お腹がポッコリと出た肥満体型に変わってきます。
もともと人間の体は本能的に太るようにできており、
エネルギー摂取が十分にできる時は、将来の飢餓対策に備えて
生命を維持するためにエネルギーをどんどん貯め込むという仕組みになっています。
そして、エネルギーを体内に貯め込むのに最も効率のいい方法が脂肪です。
炭水化物やタンパク質などは、1グラムあたり約4キロカロリーですが、
脂肪は1グラムあたり7キロカロリーもあるので
体内に体脂肪として貯蔵するのが一番効率がいいというわけです。
そんな体の仕組みの中で、毎日、食べ過ぎの食事を摂り、
しかも、全く運動はしないという生活を続けていれば、
当然、体脂肪がどんどん貯まって肥満化を加速化することになります。
ですが、こうした肥満体型は見た目が悪いというだけでなく、
蓄積された脂肪がさまざまな病気を誘発するという大問題があります。
40歳を過ぎた頃から健康診断を受診すると、
メタボと呼ばれるメタボリックシンドロームと診断される人が増えてきます。
メタボリックシンドロームとは、内臓に蓄積された脂肪が原因で
さまざまな病気を誘発する危険性の高い状態のことを指し、
中性脂肪、血圧、血糖値を測定し、
基準値を超えたものが2項目以上あるかが診断基準になります。
厚生労働省のデータによると、40歳~74歳の国内全人口のうち、
900万人以上がメタボリックシンドロームと診断され、
さらに、1000万人近い人がその予備軍とされているそうです。
このメタボリックシンドロームは、脂質や糖の代謝に悪い影響を与えて
血圧や血糖値を上昇させ、
その結果、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの命に関わる重大な病気を
引き起こすリスクが高まることになります。
このように蓄積した体脂肪から病気を引き起こす原因は、
体脂肪から分泌される“アディポサイトカイン”という生理活性物質ということが
分かっています。
このアディポサイトカインが、血液を固まらせたり、糖尿病になるなど、
さまざまな病気を引き起こす原因になるわけですが、
体脂肪が多ければ多いほどその分泌量は増えて病気を誘発するリスクは高まります。
最近の研究によると、皮膚の下につく皮下脂肪型肥満より、
内臓の周囲につく内臓脂肪型肥満のほうが3倍もアディポサイトカインの分泌活性が
高いそうです。
メタボリックシンドロームと診断された人はもちろん、
内臓に脂肪が貯まり始めてお腹がポッコリとしてきたと感じている人は、
さっそくダイエットを始めて危険な状態から脱出し、健康な体を取り戻しましょう。
ちなみに、おへそまわりを計り、男性は85cm、女性は90cm以上の場合、
メタボリックシンドロームの診断基準の目安になります。